Special Interview 07

Special Interview
ちきゅうのボブジテン
どさんこボブジテン

遊ぶのは簡単だけど、作るのは難しい!?
2つのClaGla版「ボブジテン」できました!

つかぽん(TUKAPON) × Kazuna*(TUKAPON) × ARAMA(ClaGla) × こだまじゅんじろう(ClaGla)

ボードゲームサークル「TUKAPON」の人気ゲーム「ボブジテン」の新タイトルをClaGlaのこだまじゅんじろう氏とARAMA氏が制作。「ちきゅう」と「どさんこ」のボブジテンはいかにして作られたのか?TUKAPONのつかぽん氏、Kazuna*氏をお招きし、誕生秘話を語り合ってもらいました。

ゲムマでの出会いから、5年越しの初コラボ。

ClaGlaから発売された2つのボブジテンの話を伺う前に、まずは「ボブジテン」の生みの親であるボードゲームサークル「TUKAPON」との関係について聞かせてもらえますか?

つかぽん 付き合いは古いよね。うちらが「High!High?High!!」とか「捕込(とっこめ)」を作っていた頃だったかな。元々はゲムマ(ゲームマーケット)でブースが隣同士だったんだよね。

こだま 僕らがまだClaGlaを立ち上げる前、CRIMAGE(クリメージ)の頃でしたね。

つかぽん 当時はまだ仲良くはなくて、ご挨拶程度だったね。あの有名な「ワカサギ」のところだと思って、いろんなゲームがあるなーなんて内輪で話していたくらいで。

Kazuna* 「レディ・ゴディバ」を買わせてもらいましたよね。

つかぽん 仲良くなったのはその後で、2018年12月の「北海道ボドゲ博0.5」ですね。北海道のイベントなのにClaGlaが申し込むのを忘れたって聞いて、「じゃあ一緒にやりましょうよ」って誘って。

こだま そこから一気に仲良くさせてもらっています。

つかぽん 全国のゲームカフェやショップを一緒に視察したり、ついでに新潟や伏見、灘などの酒蔵も巡ったり(笑)。

こだま 気づけば、かれこれ5年くらいの付き合いになりました。

「ボブジテン」はカタカナ語を、カタカナを使わずに日本語だけで、いかに説明できるかというゲーム。2017年に誕生して以降、これまで多くのシリーズが生み出されてきました。

Kazuna* ナンバリングの作品が「その3」まであって、そのほかにも子ども向けのお題が入った「きっず」やミニ拡張版の「ぷらす」などがあります。最初はボードゲームサークル「TUKAPON」の宣伝用のゲームとして作ったんですよね。

つかぽん 「捕込」の宣伝用ですね。

Kazuna* なので、こんなに長く売れると思っていませんでしたし、最初に作ったのも50個だけだったんです。

こだま 今でもあれを予約し忘れたことを後悔していますよ。ブースを出している関係者は、オープンから30分間は買いに行けなくて、30分後に急いで買いに行ったらもう売り切れてたっていう。

つかぽん 4分でなくなっちゃったんだよね。

たくさんの種類がある「ボブジテン」ですが、共通している制作上のルールや決め事みたいなことってあるのですか?

つかぽん ルールとしては一度使った言葉は二度と入れない。それと基本的にすべて海外で通用する言葉のみで構成しているので、エアコンのように日本では略語で認識されていて、エアーコンディショナーという正式名だとピンとこないものはすべて外しています。

Kazuna* 和製英語も一切入っていないですね。それから、その言葉の日本語名が別にあるものや知名度が低いもの、説明が極端に難しいのも外されます。今は入りましたが、初期の頃はエシャロットも知らない人が多かったのでNGでした。

言葉選びが意外と大変そうですね。

Kazuna* そうですね。なので、最初の頃は200個、300個の言葉を平気で出せましたが、シリーズの後半はネタ切れで相当苦しかったです。

つかぽん 言葉選びは最低限、自分が説明できるものを選ぶようにしています。あと、版権のある言葉も許可取りが大変なので、うちらの「ボブジテン」ではNGにしていました。ただ、イエローサブマリンが制作した「イエサブのボブジテン」と、ClaGlaの「どさんこボブジテン」はOKにして、それぞれに許可を取ってもらっています。

知名度の壁に苦しんだ「ちきゅう」。

今回の2つの「ボブジテン」、どのような経緯でClaGlaが手掛けることになったのですか?

こだま ClaGlaでは「ちきゅうのボブジテン」と「どさんこボブジテン」を作らせてもらったのですが、きっかけは2020年8月に開催された「北海道ボドゲ博2.0」ですね。札幌に来たつかぽんさんと豊平川の河川敷で飲んでいたときに「ちきゅうのボブジテン」の話になって、「ぜひやりたい!」ってお願いしたんです。

つかぽん 「ちきゅうのボブジテン」って、うちではテーマ自体にNGを出していたんですよ。

Kazuna* 本当は私が作りたかったんですけど…。

つかぽん 却下したんです。ギニアって言われても何のことやら分からないし、こんなの遊べないよって。

こだま そう言っていたのを、僕は観光の専門家でもあったりするので、やれるんじゃないかとお願いしまして。

つかぽん 最初は通常版だと大変だろうから、箱無しでカード枚数が半分のミニ拡張版として作るのを提案したんですけどね。

こだま そこはどうしても箱付きの通常版で出したくて。ただ、思った以上に地獄でした…。

つかぽん でしょうね(爆笑)。

世界の国名や都市名など、グローバルなカタカナ語が詰まった「ちきゅうのボブジテン」。その完成まで、具体的にはどのように制作されていったのですか?

こだま 「ちきゅうのボブジテン」は最初、つかぽんさんから過去に使った言葉をまとめたWordデータをもらったんです。で、それがなかなかボロボロで(笑)。ARAMAくんと作り直すところから始めました。Excelデータに変更して、国や都市を洗い出して、地理に関係するものをどんどん加えていったのですが、最初は簡単だなと思ったんです。

ARAMA 最初は選択肢がたくさんありましたよね。

こだま そう。ところが、第一校をつかぽんさんに見せたら「これダメだね」「あ、これもダメだね」ってどんどん削られていって…。

ARAMA ものすごい赤字が戻ってきて絶望しました。

こだま 自信満々だったのに、赤が入っていくごとに「え?」「なんで?」って、どんどん意気消沈していきました。「イギリス」は和製英語なので正確には「UK」だし、ドイツも「ジャーマニー」。そういう風に選別していくと、結構ヤバいことに気がついて。

つかぽん 「中国」も「チャイナ」って入っていたんだけど、それは「中国」って言えちゃうからダメだよってね。

こだま はい。それと難しかったのが知名度の問題で、僕にとっては当たり前に分かるんじゃないかと思うものでも、意外とみんなが知らなくて…。

つかぽん 自分も割と地理は強い方だと思うんだけど、出してくる言葉がまったく分からないんですよ。アメリカの州の名前を言われてもピンと来ないし、都市名なのか国名なのかも分からない。

こだま アメリカの州は全部言えますよね?

つかぽんKazuna* いや、言えないから!(笑)。

こだま でも、さすがに「ゴールデン・ゲート・ブリッジ」は分かるだろうと思って入れたら、みんなに「それどこ?」って言われて、あれはショックでした。

つかぽん 聞いたことあるなーくらいだよね。

Kazuna* 私も世界一高いビルの名前は全く知らなかったです。

つかぽん ドバイの「ブルジュ・ハリファ」だっけか。

Kazuna* そうそう。おかげで覚えましたね(笑)。

ARAMA 最初は国名や都市名、文化など、できるだけバランス良く入れようと考えていたんです。でも、ポーツマスやサンフランシスコなどの条約の名前になっている地名やモアイ、スフィンクス、トーテムポールといった各地の文化的建造物などはすでに使われていて…。世界遺産も入れたかったけど、結構使われちゃってたんですよね。

こだま それでも1枚のカードに6個の言葉が入るので、できるだけジャンルの近いモノを入れようと思って頑張ったよね。

ARAMA 国や都市の名前はできるだけ地域が分散するようにしました。アメリカは都市が多いので1枚に2個あったりしますが、それ以外は可能な限り地域ごとに分かれるようにしています。

こだま 地域が偏らないようGoogle マップにピンを打って、整理していったんですけど、アジアが難しかったよね。特に東アジアに入れられる都市名がなくて苦労しました。あと、今回いろいろと調べたことで、自分がいかにアメリカ文化の影響を受けてるかっていうのが分かったのが面白かったですね。それって僕だけじゃなくて、いろんな人にテストプレイをしてもらっても英語圏のものは知っているけど、ロシアのことはよく知らない人が多いのが分かったりして。

固有名詞OKで実現した「どさんこ」。

思った以上に苦労した「ちきゅうのボブジテン」の言葉選び。もう一つの「どさんこボブジテン」はどうだったのでしょうか?

こだま どさんこ版は最初からやりたいねって話していて、「ちきゅうのボブジテン」の反応が意外と良かったので、勢いのまま仕上げていったのですが、こっちの方が大変でしたね。

ARAMA どさんこは、ヤバかったですね。

こだま パッケージに「北海道愛強め」って書かせてもらったけど、そうじゃないと作れなかったです。これもジンギスカンもラーメンも漢字で表記できるからダメと、つかぽんさんから赤字をがっつりもらいまして…。

ARAMA アスパラ、ホワイトアスパラもすでに使われていて入れられず。せめてホワイトアスパラは欲しかったなと思いながら。

こだま 何より「どさんこ」は頼み綱だった海産物が、ことごとく漢字があってほぼ全滅状態だったんです。あまりの壊滅っぷりに僕らの顔も真っ青になってきちゃって。そこからはしばらくタブーというか、パンドラの箱みたいになって触れなくなったよね。

ARAMA 「どさんこ」についてはほぼ話さなくなりましたね。

こだま とりあえず「ちきゅうのボブジテン」に専念しようって、完成まで「どさんこ」のモチベーションはすごく下がっていたんです。で、いざ「ちきゅうのボブジテン」ができると、すごく素敵でうれしくて、「これはどさんこもやらねばならないんじゃないか」とARAMAくんと二人、再びモチベーションが高まってきて。で、ハードルは高いけど、許可取りをして固有名詞を入れていこうって話になったんです。

ARAMA そこからが本番でしたね。

こだま マルセイバターサンドやサイコロキャラメルといった土産品や、STVやHTB、AIR-G'といったテレビ局やラジオ局、初音ミクのクリプトン・フューチャー・メディアなどに許可を取って入れさせてもらいました。他にも北海道のバスケットボールチームのレバンガ北海道もあったりします。

Kazuna* クレジット表記を見ても、すごくいろんなところに協力してもらったんですね。

こだま はい。でも、残念ながら許可が取れなかったところもあって。許可をもらうには結構時間がかかるので、もっと早めに動けていたらもっと協力してもらえたと思うのですが。

つかぽん でも、いろんな固有名詞が入ったことで、だいぶ分かりやすくなったよね。

ARAMA そうですね。分かりやすい言葉が増えたので、北海道の人以外も交えて遊びやすくなったかなと思いますね。

「ちきゅうのボブジテン」「どさんこボブジテン」のどちらのパッケージも、これまでの「ボブジテン」と同じデザインが踏襲されていますね。

こだま パッケージデザインは「ボブジテン」をずっと手掛けてきた「decoctdesign」さんにお願いさせてもらいました。つかぽんさんから「すべてお願いすると大変なので、アイデアを出してあげた方がいいよ」と聞いていたので、どういう人を入れようかイメージする人の写真をシートにして送らせてもらいました。

ARAMA ClaGla版は、ゲームのタイトル部分もデザインしてもらっていて、「ちきゅう」は地球儀、「どさんこ」は乳牛をモチーフにした柄になっていたりします。

念願のコラボーション。次回作も決定!?

「ボブジテン」は、これでシリーズ累計10作品。ミニ拡張版の「ぷらす」や関連商品を加えると全16作品になりました。

Kazuna* 「ボブジテン」だけで16種類になったんだ。

つかぽん Kazuna*は、1作品で終わるって言ってたのにね(笑)。

Kazuna* 50個しか作りませんでしたからね。

こだま ちなみにARAMAくんはClaGlaに入って最初に関わったプロジェクトが「ちきゅうのボブジテン」なんですよ。

つかぽん それはまた大変な思いをさせたね(笑)。

ARAMA いやいや、楽しい思いをさせてもらいました。「ボブジテン」は数年前、イベントの打ち上げの席でこだまさんとやったのが最初で、あまりに面白かったので、次の日に買いに行ったくらいなんです。そのゲームを今、自分が作っているんだなと思うと感動でした。

こだま 僕も本当に「ボブジテン」が大好きで、今回作って何が一番うれしいかと言うと、完成したモノを眺めながら、みんなで一緒に酒が飲めることだったりするんですよね。

「TUKAPON」のお二人は完成したClaGla版のボブジテンにどういう感想を?

つかぽん 「ちきゅう」は楽しいね。この間のゲムマでうちら、ずっとこれやってたもんね。

Kazuna* 「どさんこ」の方もハスカップとか知っている言葉も入っているので、早くやってみたいです。

つかぽん 「どさんこボブジテン」は北海道でしか買えないので、ぜひこれを買いにいろんな人に来てほしいですね。北海道への旅行って、実は結構安いんですよね。関東からだと北陸に行くより断然安いし。

Kazuna* お土産に使って欲しいですよね。

こだま 僕は「どさんこボブジテン」をセイコーマートで売ってもらえないかなーと思っているんですよね。

つかぽん それ、いいね。あと、新千歳空港にも置いてもらいたいですね。

Kazuna* 観光客に身近な場所に置けるようになるといいですよね。

つかぽん 僕はさらにもう一つ、ClaGla版をお願いしたいんだよね。北海道はほら、馬の産地じゃない? だから、競馬のボブジテンが欲しいなーなんて。

ARAMA 競馬は許可取りも大変そうですが、それ以上に取捨選択するのがつらそう…。

こだま 全部で216個の言葉しか入れられないから、「なぜあの馬が入ってないんだ!?」って言われちゃいそうだよね。

つかぽん でも、賞によっては日本語なので、「天皇賞」とか「菊花賞」とか、他にも三冠馬とか、宝塚記念で足を折ったとか説明しやすいし、盛り上がりそうじゃない?

こだま 宝塚で骨折って、ライスシャワーですよね。

つかぽん そうそう!できるじゃん!

Kazuna* 来年には本当に作ってそうですね(笑)。

つかぽん 待ってますよ。ちゃんと自腹で10個は買うので(笑)。

(インタビュアー:児玉源太郎)

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『ボブジテン』シリーズ

ゲームデザイン:Kazuna* / アートワーク:decoctdesign

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