Special Interview 06

Special Interview
ClaGla nappyシリーズ

ファンと育てる、よちよち歩きのゲーム集、 新プロジェクト「nappyシリーズ」始動!

daipo(メインディレクター) × Umimal(グラフィックデザイナー) × こだまじゅんじろう(ClaGla)

2021年7月の「北海道ボドゲ博3.0」でベールを脱いだ ClaGlaの新プロジェクト「nappyシリーズ」。 「プロポーズ」シリーズでお馴染みのdaipo氏がメインディレクターを務め、 Umimal氏がグラフィックデザインを担当した「nappyシリーズ」とは、 どんな新プロジェクトなのだろうか? 代表のこだまじゅんじろう氏も交えて、話を聞いた。

溢れ出るアイデアを、もっとカタチに。

この度、ClaGlaが新たな挑戦を始めたと聞きました。

Umimal お耳が早い(笑)。

daipo そうなんです。実験的で、挑戦的なゲームアイデアを少数生産で形にして販売するプロジェクト『nappyシリーズ』を新たに立ち上げました。

こだま 当社のゲームは中国の工場に生産を依頼しているのですが、そこは最低でも数千個単位のロット数じゃないと受け付けてくれないんです。だから、失敗できないし、ゲームを一つ作るのにも相当な時間と予算がかかります。

daipo そこで、もっとフットワーク軽く、どんどん世に発表していける場を作れないかと誕生したのが『nappyシリーズ』です。国内生産でロット数100個のゲームを作り、シリーズ化して販売していきます。

こだま 僕らはもともとCRIMAGE(クリメージ)というゲームサークルからスタートし、それが法人化してClaGlaという会社になりました。振り返ると、CRIMAGEの時はもうちょっと気軽にアイデアを形にすることを楽しんでいたかなって思うんですね。

daipo 2015年に初めて「ゲームマーケット」に参加して以降、『青い鳥と黒い鳥』『指隠レ才蔵』『クレーマークレーマー』『ワカサギ』と次々に新しいゲームを作っていきましたが、『nappyシリーズ』では当時のように自由に、気軽にゲームを作っていきたいと思っています。

こだま 正直に言うと、このプロジェクトはまったくお金にならないんです(苦笑)。でも、うちの一番の宝物は各クリエイターのクリエイティビティで、それを発表していく場があることの方が重要です。ここから実験的で挑戦的な作品を、どんどん世に出していけたらと考えています。

言われてみると、大ヒットした「たった今考えたプロポーズの言葉を君に捧ぐよ」も最初はCRIMAGEでの少数生産から始まったんですよね。

こだま 『nappyシリーズ』も、人気がなければそこで終わりますが、人気が出るようだったらClaGlaのメイン商品として販売することを視野に入れています。いわば、このシリーズはまだおむつの取れていない、よちよち歩きの状態でリリースされる製品。最大の特徴は箱の中にある二次元バーコードから感想や意見を送れるようになっていて、みんなの声で製品を成長させていける点にあります。メインタイトルになるには何が足りないのか、どうしたら良くなるのかなど、ぜひ一緒に考えてもらい、製品開発の一部を担ってもらえたらと期待しています。

全シリーズを集めたくなる「飾れる外箱」。

シリーズ名の「nappy」とは、どういう意味なんですか?

daipo イギリス英語で「おむつ」という意味になります。名前を決めるときに、こだまさんにいっぱい案を出してもらって、その中の一つにあった言葉なんですが、すごくイメージに合うなと思って、「それがいい!」って決めさせてもらいました。

こだま 最初はプロジェクト名を“ルーキーズ”って呼んでいて、候補には「アラバシリ」や「Root(根っこ)」って名前もあったよね。

Umimal 「nappy」も最初は「nappies」って複数形でした。ただ、それだと企業名やブランド名にも見えて、社名の「ClaGla」や「シリーズ」といった言葉と組み合わせて使いにくいし、分かりにくいということで最終的に「nappy」になりました。

外箱のデザインが、とてもオシャレですね。

daipo 『nappyシリーズ』は、外箱は共通で、中身を差し替える形でいろんなゲームを販売していきます。

Umimal アートワークはdaipoさんのアイデアをみんなで形にした感じで、daipoさんのやりたかったことが詰まっています。

daipo 外箱をダンボール素材にして、シリーズをディスプレイしていけるよう、正面に説明書の表紙が見える窓を開けたいと考えていて、ほぼ最初にイメージした通りに仕上がりましたね。かなり良い出来で、満足しています。

Umimal 窓の形もいろいろ検討しましたよね。

daipo プロジェクトの特性をふまえて、形が定まっていないものにしようとしたね。

Umimal で、ギリギリまで悩みながら、最終的にはおねしょのデザインになったという。

おねしょ、ですか?

Umimal おねしょって世界地図とも言われるじゃないですか。『nappyシリーズ』もまだまだ赤ちゃんだけど、ここから未来に世界が広がっていて、そこに羽ばたいていくみたいなイメージで縁起がいいんじゃないかって、いくつかの候補からおねしょのパターンに決まったんです。

こだま そういえば外箱って、最初は思った感じじゃなかったよね?

daipo あ、そうでした。箱の正面に、内側から説明書をピッタリくっつける仕様にしたくて段ボール会社の人にお願いしたら、セロハンテープで付けてくださいって言われて…。それはさすがにないと僕の方で箱の形状を考えて提案したら、その仕様が採用されたという。

Umimal なので、daipoさんは箱の設計もしているんです(笑)。

daipo 外箱の仕様は僕ですけど、「nappy」のロゴマークはUmimalさんのデザインで、ClaGlaのロゴが赤ちゃんのお尻の形をしているのも彼女のアイデアなんですよ。

Umimal 「nappy」のロゴはdaipoさんとアイデアを出し合って、箱の正面に説明書に描かれた各ゲームのメイングラフィックが来るので、それを邪魔しないようにシンプルでフラットなものにしようと、最終的にタイポグラフィだけのロゴに落ち着きました。

daipo 最初の頃には、カンガルーのイラストが入っていたりしたよね。

Umimal 飛び跳ねていくみたいなイメージで考えたんですけど、最終的には一番赤ちゃんぽい形のロゴに決まった感じでしたね。ClaGlaのロゴも本来は楕円形の中に文字が入っていますが、このシリーズならでの特徴を持たせたくて、お尻の形にしてみました。

daipo 外箱の側面にあるロゴは陳列の際のディスプレイを視野に、黒と白でデザインしていて、交互に積んでグラフィカルに陳列できるようになっています。

遊びの延長から生まれた「インナークロック」。

「北海道ボドゲ博3.0」にて、シリーズ第一弾として「インナークロック」がお披露目されました。

daipo 「インナークロック」は、体内時計を使って遊ぶゲームで、プレイヤーは架空のオリンピック競技の日本代表選手の一員となって、みんなで協力して記録更新に挑みます。具体的には、最初のプレイヤーが体内時計を使って、10秒以内でストップウォッチを止めます。で、次のプレイヤーはそのプレイヤーが出したタイムよりも短い時間でストップウォッチを止めるというのを繰り返し、何回バトンをつなげるかを競います。

最初の人が9秒だったら、次の人は9秒以内に止めるということですか?

daipo そうです。前の人のタイムをオーバーするとファウルになり、3回ファウルするとゲーム終了になります。

息の合ったチームプレイが求められるゲームなんですね。

daipo プレイ人数は10人までに設定していますが、一人でも遊べます。テストプレイの感じだと、だいたい22〜23回は回ると思います。

そんなに回るんですね!?

daipo 意外といきます。ですので、10人で遊んだら一人2回ぐらい順番が回ってくる計算になります。

このゲームは、かなりメンタルが試されそうですね(笑)。

daipo そうなんですよ。以前、NHKの取材が来たときにテストプレイをしたのですが、みんな緊張して失敗しまくりました(笑)。

コツはあるんですか?

daipo コツはどうだろう。プレイヤーにできるだけ話しかけない、周りが静かにするってことですかね。

ちなみにClaGlaの皆さんは何回くらい続きましたか?

daipo 27回とか28回とか、ですね。29回以上続くと金メダルという設定にしているのですが、そこまで届かず、銀メダル止まりで。

「インナークロック」のアイデアって、ずっと温めていたんですか?

daipo いや、これはまったく温めてなくて。もちろん、温めているアイデアもあるのですが、これはその場の雑談から入って、そのままみんなでバッとつくった感じです(笑)。

Umimal ClaGlaでは毎週、ゲーム研究会というのを行っていて、テストプレイを持ち寄ったり、やっていないゲームを遊んだりしているのですが、そのときでしたよね?

daipo 僕が体内時計にすごい自信があるんですよって話をしたら、ちょっとやってみようかって流れになって。

Umimal daipoさん、ものすごくズレてたんですよね(笑)。

daipo そんなに優れてなかったね(汗)。僕なんかよりARAMAくんがヤバくて、若い人は体内時計が正確なんですね。

Umimal 0.01秒差で次につないでいましたよね。

そうして、みんなで体内時計を確認していく中でゲームになっていったんですね。

daipo そこで体内時計を使ったゲームというのが決まって、そこからARAMAくんの「スポーツっぽいですね」って発言をきっかけに、スポーツをテーマに仕上げていこうと考えました。スポーツ以外にも失敗すると死んでしまうデスゲーム的なストーリーも考えたんですけど、オリンピックもあるし、スポーツがちょうどいいかなって。

Umimal 今回の「インナークロック」は、デザインにも注目してほしいです。これまでdaipoさんの作品はグラフィック寄りのデザインが多かったですが、今回は本職であるイラストレーターとしての能力がいかんなく発揮されています。

daipo 確かにイラストっぽいイラストの表紙は初めてかもしれないね。

説明書の表紙のイラストはどういったイメージで描かれたのですか?

daipo 完全にサッカー日本代表のイメージで描きました(笑)。そういう気持ちで遊んで欲しかったので、ナイキやアディダスなどを彷彿とさせるイラストになっています。

こだま 実際にプレイすると、表紙に描かれている人みたいに、「ウォーッ!」とか、「はっ!」とか、そんな表情になります(笑)。あと、僕はこのストップウォッチにかかるオレンジ色が気持ち良くて好きなんですよね。

daipo そこは指先に時間が集中しているイメージで描いたのですが、色は最後まで何色にしようか悩みました。

ゲームづくりのワクワクを、ファンと一緒に。

ゲームにはスマートフォンのストップウォッチを使って遊べるよう、画面に取り付けられるボタンが付いていて、他にもカードがあるんですね。

daipo 「グリーンカード」というお助けカードで、ルールとしては止めたストップウォッチの下二桁の秒数がゾロ目だったら一枚引けます。引いたカードはいつでも使えて、例えば「RETRY」はその名の通り、もう一度やり直すことができます。あと、ファウルを1回無効にできるカードもあります。どう使うかはチーム次第。ぜひ全員で話し合って決めてください。実はこのゲーム、今後大会を開催できたりしたら面白いなと思って、ひそかに公式ロゴも作っていたりします。

公式ロゴがあるんですか?

daipo 「国際インナークロック連盟(WCC:World Inner Clock Confederation)」というこの競技を取り仕切っている架空の団体を想定して、各所にロゴを入れています。ちなみにファウルランプのカードには国際大会の公式スポンサーである「大保工業」の名前が記載されています。この会社名、なんで大保工業か分かりますか?

え? 大保工業に意味があるのですか?

こだま はっ!気づかなかった!

Umimal 私はさっき気づきました(笑)。

daipo どんな名前でも良かったんです。でも、理由を用意しておいた方が説明しやすいし、聞いた側も納得できるじゃないかなって、その名前にしてみました。

随所にこだわりや仕掛けが詰まっているんですね。

こだま そういう点では僕はこのゲーム、国歌斉唱から入るのをおすすめしておきます。

国歌も用意されているのですか?

daipo タイムを書き込むスコアシートの右上に二次元バーコードを載せていて、カメラで読み込むと「君が代」が流れるようになっています。

こだま それがね、気持ちが上がるんですよ。「おっし、やるぞ!」って。で、個人プレイが求められるゲームなのに、チームワーク感も高まるという。

daipo 確かに今まで作ったものの中で、一番プレイできる年齢層が広いというのはありますね。年齢層も広いですし、プレイ人数も広い。オンラインプレイもできるので、ソーシャルディスタンスばっちりで遊べるゲームになっています。

こだま 人気になってくれたらいいな。人気になってくれたら時計会社とタイアップして、専用のストップウォッチをつくりたいね。

「nappyシリーズ」は、ここからどのように展開していくのでしょうか?

daipo 7月末のボドゲ博で、まずは第一弾の「インナークロック」を販売しましたが、今はその他に僕とUmimalさん、さらにはセンバくん、ARAMAくんで、それぞれ1本ずつ、計4本のゲーム企画が動いています。

Umimal みんな急にやる気になって(笑)。

daipo 少数ロットでの生産なので、流通に乗せることは考えていなくて、次は秋のゲームマーケットでの販売を目指しています。今後ズラッと並んでいくと、ぐっとシリーズ感が増していくと思います。

こだま すでにいくつかテストプレイしましたけど、ARAMAくんの作品も面白いし、どれも発表していくのが楽しみな作品ばかりです。

個性がそれぞれ違うので、かなりバラエティに富んだシリーズになりそうですね。

daipo そうですね。センバくんのは謎解きですが、何でも入れちゃえって感じです(笑)。

こだま 僕らはゲームマーケットに育ててもらったので、まずはゲームマーケットで売りたいと思っていますが、イベントに来られない人もたくさんいます。ClaGlaを応援してくれている人は全国にいらっしゃいますし、そういう人たちにしっかりと届けていきたいと思っていますので、今後はオンラインでの販売も行っていきたいと検討しています。ぜひみんなで開発するところからワクワクを共有できたらうれしいです。

(インタビュアー:児玉源太郎)

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ゲームデザイン/アートワーク:daipo(CRIMAGE)

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