Special Interview 03

Special Interview
なんだって授賞式

これはボドゲのニュースタイル!? ゲームすることもゲームになる 『なんだって授賞式』

hide(ゲームデザイナー) × Umimal(アートワーク) × こだまじゅんじろう(ClaGla) × センバ ノブユキ(ClaGla)

48種類の個性豊かな賞にふさわしいと思う人を ゲーム終了後などに投票で決める「なんだって授賞式」。 これまでになかったゲームとゲームを結ぶゲームは どのようにして思いついたものなのか? そして、見た目も豪華なこのゲームはどのようにして商品化されたのか? ゲームデザイナーのhide(ヒデ)氏とアートワークを手掛けたUmimal(うみまる)氏に ClaGlaの2人を加えた4人にインタビューを敢行しました。

一緒にゲームすると面白い人って、どんな人?

「なんだって授賞式」は、ボードゲームカフェの副店長を務めるhideさんのアイデアから生まれたと聞いています。具体的にはどういった発想から生まれたのでしょうか?

hide ボードゲームをやっていると、「あの人とやると面白い」と感じる人がいたりしませんか? ボードゲームカフェで働いていても、そういう人がテーブルにいるとどんなゲームでも必ず盛り上がるということがあって、どんな人が面白いと思われるんだろうと知りたくなったのがそもそものきっかけでした。

こだま ゲームをする人の個性でゲームが回るってことあるよね。

hide メンバーによって変わりますよね。それで、その人がどういう人か分かるゲームを作れないかと考えていたら、このゲームがすっと降りてきまして(笑)。すぐに試作を作ってやってみたら楽しかったっていうのが始まりです。

そこからどのように商品化に向かっていったのですか?

hide 最初は名刺サイズの紙に賞の名前を書いて、その賞にふさわしい人を投票してもらいました。で、お店のお客さんにテストプレイしてもらったら、「これは盛り上がるね」と好評だったので、ClaGlaのこだまさんにもやってもらおうという話になりまして。

こだま で、僕は「hideさんがゲームを作った」と聞いて、お店で遊んでみたら面白くて。早速、センバに「視点が変わっていて面白かったよ」って報告したら、彼もやりたいと盛り上がって。商品化もうちから持ちかけたんじゃなかったかな。

商品化が絶望的になりかけた落とし穴。

ゲームとゲームの間で遊ぶゲームは今までに聞いたことがなく、とても珍しいゲームだと思いました。

hide 僕もあるとは聞いていましたが、やったことはなくて。いろんな意味で異色なゲームですよね(笑)。

ClaGlaとしては、どのようにプロデュースしていったのですか?

センバ 賞の数は最初からいっぱいあったし、全体的なゲームデザインもしっかりしていて、hideさんの考えたものから基本的には変わっていないよね。

こだま 投票するチップを裏返して渡すとかは変えたかな。あと、ルールがちょっとフワッとしていたので、そこを整理していった感じかと。

Umimal アワードチップを貼る受賞ボードは最初、バッジみたいに安全ピンで服に留めようって話になったんですけど、それだと服に穴が空くのが嫌な人とか居るんじゃないかって変えました。メダルのように首に掛ける方が授賞式感も高まり、体験として良いんじゃないかって最終的に紐になったと覚えています。

では、結構トントン拍子で商品化が進んだんですね?

こだま いやいやいや!難産でしたよ。超〜難産です(笑)。

センバ うちで商品化しようとなったところまではよかったんです。僕らがいいと思ったのは、ゲームとゲームの間にゲームするというのが新しいし、今までにないものだったから。ですが、それをカタチにしていくのは、めちゃくちゃ大変な作業でした。

具体的にはどんな大変さが待ち受けていたのでしょう?

センバ アワードチップが単なるカードだったら、それほど大変じゃなかったと思うんです。でも「なんだって授賞式」のチップには全部マジックテープが付いています。こういうゲームって、ほとんど無いんですよ。

こだま 無いには無いなりの理由があってですね・・・それは・・・耐久度…。

センバ 付けたり外したりするマジックテープの加減がとにかく難しかったんです。

こだま くっつく力が強いと、剥がしたときに紙も一緒にベリッと剥がれちゃう。たった一回使っただけで壊れちゃうという…。

センバ だから、いろいろなマジックテープを手に入れては試行錯誤を重ねました。

何度も使う必要があるコンポーネントなのに、それは厳しいですね。

センバ マジックテープは諦めて、マグネットにしようと試みたりもしたんです。

Umimal そうしたら、今度はマグネットが引っ掛かって手が切れる可能性が出てきて。安全性が守れないなら、そっちの方が問題じゃないかって。

そこからどうやって今のマジックテープに辿り着いたのですか?

センバ とにかくたくさんの種類のマジックテープを手に入れて、その中でこのゲームに使える低粘着の製品を見つけました。

Umimal これ、普通のマジックテープに見えますがフックが浅いんです。なので、ちゃんと付くけど簡単に剥がれるようになっています。

本当は去年の秋にリリースする予定だった。

センバ そもそもこのゲーム、今年じゃなくて去年の秋のゲームマーケットでの発売を目指していたんです。

Umimal それが途中でマジックテープの問題が分かって…。

センバ 絶望的になりながらも、なんとか今年の春のゲームマーケットには間に合わせようと頑張っていたら…。

hide 今度は新型コロナで春のゲームマーケットが中止になってしまったんですよね。そこからは時間ができたからブラッシュアップしていこうと、ポジティブに話し合いを重ねていきました。おかげで時間はかかりましたが、その分、完成度の高い商品になったと思います。

どの辺の完成度をあげていったのですか?

hide 主にアートワークでしたよね。

Umimal アートワークはギリギリまで詰めました。メインビジュアルも決まるまで相当時間がかかっていて、最初はアカデミー賞などを意識したトロフィーのデザインから始まったんです。でも、それだとイメージがそのまま過ぎるとダメ出しを受けて…。最終的には今のアートワークと、授賞式の会場にサイコロやコマなどのコンポーネントが集まっている案に絞られていきました。

採用されたメインビジュアルは、見ているだけでワクワクしてきます。

Umimal ありがとうございます。hideさんが「ゲームをする人たちの個性を表現したい」とずっと話されていたので、遊べる最大人数の6人がメダルをかけて表彰されているイメージで作らせてもらいました。また、レッドカーペットこそないですが、授賞式のゴージャスな印象を高めたくて、ClaGlaのゲームでは初めて箔押し加工を使い、キラキラと輝く演出も加えています。

こだま 受賞ボードやアワードチップのアートワークも最後まで調整したよね。ボードに至っては、ずっと四角形で作っていたんですけど、アワードチップをたくさん貼っていくと一部がはみ出ちゃうんです。そのまま遊んでいると取れて紛失しかねないので、より安心して遊べるようにと最後の最後で六角形に変更しました。

Umimal こだまさんやセンバさんが「コンポーネントによって体験が変わる」と話されていたので、よりメダルらしく調整して、首に掛けるだけでワクワクしたり、写真を撮りたくなったりするようなアートワークを意識しました。箱のサイズを決めるまでもいろいろありましたよね。

センバ 今回、コンポーネントがカードじゃなくて、チップやボードなので、ボリュームがかなりあるんです。体積が大きいので、これまでClaGlaがリリースしてきたゲームの箱のサイズに入り切らなくなっちゃって。

Umimal 届いたサンプルの箱からコンポーネントが溢れちゃったという。

こだま 僕はClaGlaの箱にこだわりをもっていて、なんとか今までの大きさの箱に納められないかとアイデアを出し合い、議論を重ねたのですが…。

センバ 最後まで1.5倍の大きさにするのを反対していたもんね。

こだま 僕は「たった今考えたプロポーズの言葉を君に捧ぐよ。(以下、プロポーズ)」の箱のサイズを1クラグラという単位で呼んでいて、拡張版はその半分サイズの0.5クラグラのサイズでつくっています。それが従来の1.5倍のサイズになってしまうと重ねたときに中途半端な段差ができてしまい、キレイに置くことができなくなってしまいます。それなら、いっそ2倍の方が美しいと思ったんですが、流通を考えると1.5倍の方が1つの段ボールにたくさん入れられるんですよね。コンポーネントが充実し、ただでさえ高くなってしまったゲームなのに、箱のサイズだけでこれ以上コストを上げてはいけないと諦めました。

大きくするのも簡単じゃないんですね。

hide あんまり大き過ぎると箱を開けるまでのハードルもあがってしまうし、しっかりした内容のゲームを期待されてしまうから1.5倍くらいがちょうど良かったかなとは思いますね。

さまざまなシチュエーション、海外でも広がってほしい。

「なんだって授賞式」は難産の末、手塩をかけて作られたゲームなんですね。

センバ コンポーネントも含めてすごくリッチな作品で、採算の合わないゲームになりましたね。

こだま 採算は考えられない…。

センバ 僕らも勉強になった作品で、何か可能性を秘めている作品だと期待していますし、「さすがClaGla、ちょっと違う視点の物を出してきたな」みたいに言われるとうれしいですね。

ボードゲームカフェはもちろん、知らない人同士で遊ぶときに、このゲームは大きな一役を担ってくれそうですね。

hide そうですね。ボードゲームを遊んだ後って、みんなで感想戦をするのですが、そこにこんなゲームがあったら盛り上がるのに、と思っていたのでカタチになってうれしいですし、実際に盛り上がってほしいですね。また、遊び方のヒントに書いてあるんですが、本来はゲームの後に賞を発表しているのを、ゲーム前にどんな賞があるのか発表してからゲームをするという遊び方もできます。そうすると、たとえば「優しさあふれるで賞」を狙って露骨に優しくなる人が出てきたり、よりゲームらしく遊べると思うので、それもぜひ楽しんでもらいたいですね。

こだま このゲームは、ボードゲームだけじゃなくて、他のものにも遊べるゲームなんですよ。たとえば会議が終わったときに、会議中の発言がどうだったかを評価するのにも使えるし、なんらかのスポーツをしたときに、そのスポーツでどうだったかを決めることもできる。そういうどんなシチュエーションでもできるというゲームだからタイトルも「なんだって授賞式」。このネーミングは僕らではなく、東京のゲームメーカー「Dig-A-Doo(ディガドゥー)」の代表である遠山彬彦さんにテストプレイしてもらったときに彼から出てきたモノで、僕らもそれが一番しっくりくると思って、完成した商品1個と引き換えに使わせてもらいました(笑)。

いろいろな使い方ができるということで、hideさんは発売後どんな光景を見てみたいですか?

hide まずはやっぱり、自分が勤めるボードゲームカフェで、みんながアワードチップを付けているところが見たいですね。あと、Twitterなどで「会議でこれを使ったら、会議が平和になった」とか、ボードゲーム以外で使ったのを報告しているツイートも見てみたいです。

Umimal いろいろな人に受け入れられるゲームになったらいいですよね。

hide あ、あとは海外で流行ったらうれしいですね。

そういえば今回の作品は、英語の説明書も付いてるんですね?

こだま 僕たちはできるだけグローバルなゲームを作りたいと思っているんですけど、いかんせん今まで作ってきた「プロポーズ」も「コトバーテル」もワードゲームなので、インターナショナルな対応ができなかったんですよね。でも、これは対応できるということで、英語でも表記しています。

Umimal 海外では日本以上にゲームを通じたディベートが盛んなので、これも結構コミュニケーションにつながるんじゃないかなと期待しています。

hide このゲームはボードゲームがあってこそのゲームで、日本よりもボードーゲームが盛んな海外の方が存在感を持ってくるかもしれませんよね。ぜひ流行ってほしいですね。

(インタビュアー:児玉源太郎)

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