無題ドキュメント

Special Interview 01

Special Interview
コトバーテル

伝わるか!? ワヘラヌオホイ!! ヘイサフキャガハタル、コトバーテル

ARAMA(ゲームデザイナー) × こだまじゅんじろう(ClaGla) × センバ ノブユキ(ClaGla)

ClaGlaが第2弾のカードゲームとしてリリースする「コトバーテル」。 「コトバーテル」とはいかにして生まれたのか? どのようなゲームなのか? 11月23日より開催されるゲームマーケット2019秋での先行発売を前に ゲームデザイナーのARAMA氏、そしてClaGlaの2人にインタビューを敢行! 「コトバーテル」への思いや制作者だからこそ知る舞台裏を伺いました。

はじまりは、カタカナ5文字の“メロンパン”。

まずは「コトバーテル」のゲームデザイナーであるARAMAさんとは、いったい何者なのか?そこからお聞きしたいと思います。

ARAMA はい。僕は札幌市立大学の大学院に通う修士1年生で、デザイン研究科人間情報デザインコースというところで日本語のデザインについて研究しています。

ARAMAさんは「ARAMAのにほんごのアレとコレ」というホームページを運営されていて、日本語をさまざまな角度からひも解いた作品を発表されていますね。

ARAMA あれは大学4年次に卒業研究として日本語をテーマにした作品をつくったときに開設したもので、そこからずっと日本語関連の作品を作っては発表し続けています。

どうして日本語をテーマにした作品をつくるようになったのですか?

ARAMA 話が前後するのですが、きっかけとなったのが「コトバーテル」なんです。

現在の研究の原点に「コトバーテル」があった?

ARAMA そうなんです。実は大学3年次にボードゲームを自作することにハマり、そのときにつくったゲームの一つが「コトバーテル」でした。ゲームづくりを通じて日本語の曖昧なところに面白さを感じ、大学4年次の卒業研究で突き詰めて研究し始めたんです。

大学時代にゲームづくりにハマったのですか?

ARAMA 日本語をテーマにつくったゲームは「コトバーテル」だけですが、他にもスゴロク的なのもあれば、戦略ゲーム的なものもあったり、大学3年次の1年間は空きコマがあったら、とにかくいろいろなジャンルのゲームを両面コピーや厚紙などを駆使してつくっていました。

その中で「コトバーテル」はどのような経緯で誕生したのですか?

ARAMA 当時、ゲームをつくる際に毎回テーマとして一つの単語をランダムに設定し、そこからゲームを考えていったのですが、「コトバーテル」は“メロンパン”という単語をきっかけに生まれたんです。「メロンが入っていないのに、なぜメロンパンって言うんだろう?」という疑問から、「メロンパンという言葉自体があるからメロンパンとして成立しているんじゃないか?」という発想に行き着き、「だったら“メロンパン”という言葉は、どこまで認識されているんだろう?」と、カタカナ50音を一文字ずつカードに書いて、“メロンパン”の文字を並べ替えたりして遊んだのが始まりでした。

言葉をつくるのではなく、分解していくところから始まったんですね?

ARAMA そうですね。最終的に完成した「コトバーテル」は一つの単語をバラバラな言葉から当てるゲームですが、最初は完成された単語を分解していきました。まずは分かりやすい「ン」と「ソ」を入れ替えて、「メ」はどうだろう、「ロ」はどうだろう、「パ」を「ポ」にするとさすがに変だなとか。そうして、いろいろと試しながら、友達に「これ読める?」って当ててもらうことで、今のルールのベースができた感じです。

コトバを当てるゲームだから、コトバーテル。

「濁点」「小文字」「段」「行」などの特殊カードはいつからできたのですか?

ARAMA 最初に手作りした段階からありました。「濁点」「半濁点」「小文字」は“メロンパン”をバラして考えていたときに、「パ」を一枚としてカウントしたらものすごい枚数のカードが必要になると思い、カタカナ50音と組み合わせられる別カードとして用意することにしました。「段」「行」「確」のカードは、あまりに本来の完成形と遠すぎても当てるのが難しくて、何かヒントになるようなものをつくれたらと考えました。

「コトバーテル」という名前はどこから?

ARAMA 最初はテーマとして決めていたメロンパンと呼んでいたのですが、割とすぐに「コトバーテル」になりましたね。「コトバ」を「アテル」ゲームだから「コトバアテル」で「コトバーテル」。パッと思いついた名前だけど言いやすいし、自分としても気に入っています。

当時の周りの反応はどうだったんですか?

ARAMA 「コトバーテル」と同時に他のゲームもつくっていたのですが、みんな「これが一番面白い」と言ってくれましたね。「これはもう商品にできるよ」という友人もいて、大学の講師も「これは世に出した方がいい」と背中を押してくれたのですが、自分では特に何かアクションを起こすつもりはなくて。

ですが、昨年秋にクラウドファンディングで商品化されました。

ARAMA そうなんです。でも、実を言うとその前にも一度販売したことがありまして。

そうなんですか?

ARAMA はい。卒業研究がスタートし、作品をWebで発表していく中で文字制限昔話「桃太郎」(※)がTwitterでバズりまして、40人くらいだったフォロワーが一気に4000人まで増えたんです。気楽に始めたつもりが、ものすごいプレッシャーを感じるようになった一方、そこまでたくさんの人に知ってもらえるチャンスがあるのなら、「コトバーテル」も学内だけでなく、広い世界でどこまで通用するか試してみたくなって。厚めの紙に両面印刷して、箱も厚紙で作って、手作りの「コトバーテル」を50個限定で販売したんです。

※“ももたろう”の「ま行・た行・ら行・あ行」しか使えない制限で語られた昔話の「桃太郎」。2019年11月までに3.6万リツイート、6.5万いいね!が付いている。

なるほど。それで反響がよかったので、次はクラウドファンディングという形になったのですね?

ARAMA いえ、それがまたそういうわけでもなく(汗)。ありがたいことに手作りの「コトバーテル」はすぐに完売して、クラウドファンディングでの販売も考えたのですが、そうなると自分だけの責任じゃなくなるので手作り以上にプレッシャーを感じますし、お金が集まらなかったらそれはそれでショックを受けそうで…。自分の中での葛藤があり、すぐには手が出なかったんです。

それなのにクラウドファンディングに踏み切ったのはどうして?

ARAMA 手作りの「コトバーテル」を販売したのが2018年4月21日。そこからクラウドファンディングを開始した8月22日までの間に、今度は「ぷよぷよ」みたいに連鎖して漢字をつくっていくゲームの動画がバズって、フォロワーがさらに増えたんです。そうなると葛藤していた思いより、「今度はどこまでいけるだろう」という好奇心の方が強くなってきて。それでようやくクラウドファンディングに踏み切ることができました。

 

「コトバーテル」は、手作り、クラウドファンディングと2度の商品化により、少しずつプレイする人を広げていった。そして2019年11月、「コトバーテル」はClaGlaからリリースされる──。

面白いゲームは、世に広まっていくべき。

ここからはClaGlaのこだまじゅんじろうとセンバ ノブユキも交えて、ClaGlaバージョンの「コトバーテル」について聞いていきます。まずはARAMAさんとClaGlaとのつながりを聞かせてもらえますか?

こだま 僕は札幌市立大学の非常勤講師として1年生の授業を受け持っているのですが、ARAMAくんはその教え子の一人なんです。大学4年次に「最近こんなゲームを作ったんです」っと、僕が手伝っていたゲームカフェに「コトバーテル」を持って来てくれて。そのときに持ってきたのはかなり初期のやつだよね?

ARAMA 手作りで売り始める前の、最初につくった一つしかないものです。

こだま 「一緒にやりましょう!」と来てくれたんだけど、僕は店員で仕事中だからできなくて(笑)。どんなゲームなのかは横目で見ながらある程度理解して、プレイしていた人たちから「面白かった」と感想も聞いていたんだけど、実際にプレイできたのはクラウドファンディングのバージョンを買ってから。センバくんとプレイしたんだよね。

センバ すごく面白かったですね。“プロポーズ”を発売したばかりでしたが、「次はこれを出そうか」って話をしましたよね。

ARAMA 僕の知らないところでそんなことがあったんですね。

こだま いきなり検討したわけじゃないんだよ。ただ、ClaGlaとしては、ゲーム制作の主役はやっぱりクリエイターだと思うし、その応援をしていきたい。頑張って活動しているARAMAくんの何か力になれたらという思いと、何よりゲーム自体が面白くて、このゲームはもっと世に広まるべきだと思ってね。それを一緒にできるのは楽しいことじゃない。

センバ 商品化するには荒削りなところもあったけど、こっちで少しルールをいじらせてもらえたらいけるかなって。それで今回、うちからリリースさせてもらうことになったという。

ARAMAさんは声をかけられてどうでしたか?

ARAMA いやー、めちゃめちゃうれしかったですよ!

こだま 話してみたら喜んでくれたので、僕らもうれしかったですね。ただ、「コトバーテル」はARAMAくんのクリエイティブな作品ですから、どこまで介入して良いのかという点にはとても気を使いました。

センバ それまでのルールが少し複雑だったので、もう少しシンプルに分かりやすくしようと提案させてもらいました。具体的には、自分のターンのときに何ができるのかが分かりづらかったところを、できる行動を4つに整理しました。また、ClaGlaバージョンではお題が5文字になっています。以前のバージョンでは文字数に制限がなかったんです。

こだま それまではプレイヤーにルールを委ねるところが結構多かったんだよね。ClaGlaバージョンでは基本的な遊び方をまずは定義して、その上で他の文字数でも遊べますという形に変えています。

ClaGla版は、手に取りやすく、遊びやすく。

センバ あとはカードの並べ方ですね。文字カードと特殊カードを分けて並べていたのを、一緒に並べた方が分かりやすいかなと。他にもカードのやりとりに制限があったり、覚えることが多かったのもスッキリさせました。

こだま 何より前のバージョンにはお題を書くホワイトボードがなかったから、紙とペンを用意しなくてはいけなくて。やりたいと思ってもパッとプレイできないところがあったんだよね。

ARAMA ホワイトボードやペンも付いて、すごく立派になりました。

センバ ルールの他に、グラフィックも大きく変えさせてもらいましたね。以前のストイックなデザインも良かったのですが、より多くの人に手にとってもらえるようなデザインを目指して、ちょっと可愛い感じにしました。

こだま デザインを依頼したのは昔からお付き合いがある札幌のデザイン事務所、COMMUNE(コミューン)です。代表の上田亮くんは、本質や想いをしっかりと汲み取って表現してくれるグラフィックデザイナーですので、僕らから何か要望するのではなく、実際にプレイしてもらい、そこでの楽しさや感じたことを大切にデザインへ落とし込んでもらいました。

センバ 唯一お願いしたとすれば、1枚のカードに1文字ずつ書かれているゲームは他にもたくさんあるので、その中で埋もれてしまわないようなデザインを意識してもらったことですね。おかげで、文字カードだけで「コトバーテル」だと分かるオリジナリティあるオシャレな仕上がりになったと思います。

やるほどにハマる、「コトバーテル」の魅力。

インタビュー前にプレイさせてもらいましたが、すごく面白かったです。コトバを当てるのも当てさせるのも難しくて、ぜひもう一回チャレンジしたいです。

こだま いいゲームは一回終わった後にもう一回やりたくなるんですよ。僕らも毎回やるたびに予定していたより多くやっちゃいますもん。

ARAMA だいたい負けたチームの人が「悔しい!ごめんもう一回!」ってなるんですよね(笑)。

センバ このゲームの楽しさって、やっぱりチームプレイにありますよね。コトバが当たったときのカタルシスが最高だし、勝ったときの達成感がすごい。

私の初挑戦はClaGlaこだまさんとARAMAさんのチームに負けてしまいましたが、お二人ともよく当てられましたね。

センバ ARAMAくんはプロだからねぇ(笑)。

ARAMA いやいや、僕も初めてやる人に負けることありますから!(笑)。このゲームって、自分のやっていることが伝わらなければ相手は答えることができないし、逆に相手がやっていることを理解できなければ自分も答えられない。プレイの歴や熟練度は関係なく、そこで差がつかないところも良さだと思います。

こだま むしろ波長がつながっている人が同じチームになるとすごく面白かったりします。先日、僕とチームを組んでいた女性が答え合わせで相手チームの女性と「なるほど」「わかるわかる」と共感しあってたので、試しにその二人にチームを組んでもらったらめちゃめちゃ強くて!半濁点の「。」をローマ字の「O」として使って、それを分かり合えたりするんですよ。

ARAMA それはなかなか通じ合えないかも!そんな人、今まで一度もいなかったです。

こだま でしょ(笑)。ちなみにARAMAくんが出すお題はいつもヤバいんですよ。「コトバーテル」では同じ文字は2枚しか入っていないから同じ文字が3文字以上入ったお題にすると絶対に完成しないんですが、そういうところを狙ったお題を出してきます。 あと、日本語で最も使われている文字の「カ」を多用したお題とか(笑)

なるほど、それは裏技ですね!

こだま いや、それは全然裏技じゃなくて、ARAMAくん曰く“テクニック”だそうです(笑)。

センバ チームメイトにコトバを当ててもらうのも、自分が当てるのも楽しいし、自分の考えたお題が相手チームの答えるコトバになるので、当たらないようなカタカナ5文字を考えるのも楽しい。それに文字の枚数に限りがあるから、相手チームのお題が完成しないようブロックしたりする駆け引きも楽しめる。ルールが簡単なので軽くも遊べるし、やりこむほどに深くも遊べるゲームだと思います。

いよいよ発売ということで反響が楽しみですね。

ARAMA 楽しみです。我が家では僕だけでなく、親も「まだなの?」ってすごく心待ちにしてくれています。

こだま それはうれしいねぇ。「たった今考えたプロポーズの言葉を君に捧ぐよ。」もそうでしたけど、ClaGlaが何よりも大切にしているのは、僕らがプレイして「これ面白い!」と思うものをリリースしていくこと。「コトバーテル」はとにかく面白くて、大好きなゲームです。そういえばセンバくんって、「プロポーズやろう!」ってあんまり言わなかったけど、「コトバーテルやろう!」ってすごく言うよね?

センバ うん。これをプレイするの、めっちゃ好きなんですよ。

こだま 僕はこのゲームの結果をTwitterなどのSNSにアップするのも面白いかなと思っていて。前に「ピカチュウ」というお題を「ペカトユフ」という段階で当てた人がいるんだけど、それってすごくないですか? そのときにうれしくて写真を撮ったんだけど、今度は「自分は読めたけど、みんなは読める?」って投稿したくなると思うんですよね。ちなみに「カヤビメル」って何か分かる?

ARAMA 何だろう???

センバ 分かりません。

こだま 答えは、「カンビール」でした(笑)。このゲーム、遊んでもらうと間違いなく楽しさを分かってもらえると思います。

センバ 一回でも遊んでもらえれば本当に伝わると思いますね。そして、またすぐにやりたくなるはずです。気軽で手に取りやすく、遊びやすいゲームになったと思いますので、ぜひ遊んでみてください!

(インタビュアー:児玉源太郎)

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ゲームデザイン:ARAMA / アートワーク:COMMUNE

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