Special Interview 09

Sapporo Game Space
(後編)

Sapporo Game Space もうすぐ2周年!
「ゆこる」「ナゾグラ」振り返り座談会(後編)

きむち。(「ゆこる」店長) × hide(「ゆこる」副店長) × クロ(「ゆこる」アドバイザー) × センバノブユキ(「ナゾグラ」プロデューサー) × こだまじゅんじろう(ClaGla代表)

2020年にオープンしたSapporo Game Space(以下、SGS)。座談会の前編ではSGSが完成するまでの軌跡を伺いましたが、後編では設計した宮城島崇人氏に替わり、「ゆこる」の副店長を務めるhide氏を交えて、コロナ禍での運営を余儀なくされた1年を振り返ってもらいました。

緊急事態宣言がオープンを遅らせた

紆余曲折あり、さまざまな思いを詰め込んで完成したSGS。そこからまたオープンまでが大変だったみたいですね?

hide オープン日がズレたんですよね。

きむち。 そう。本当は2020年5月1日にオープンする予定だったんですが、緊急事態宣言があって営業できなくなってしまい…。

こだま オープニングは華やかにいきかったんだけどねぇ。人が集まってはいけない状況になってしまったので、5月は無理だとなりまして。

きむち。 そこで「ゆこる」は1か月延期して6月1日にオープンしました。

センバ 「ナゾグラ」に至っては、それからさらに遅れて8月21日にオープンしました。

こだま ただ、延期したことで良かったこともあって。地下は換気が悪く、コロナ禍では最悪な物件でもあるんですね。ですが、ここはまだ工事中だったので、もっと換気を増やしたほうがいいねって話になり、おかげでコロナ仕様の換気になっています。

「ナゾグラ」のオープンが遅れたのには、どういう理由があったのですか?

センバ 「ナゾグラ」は本来、その空間全体を使った謎解きゲームを提供する場として考えていたんです。壁で仕切られてカギが付いた部屋をいくつも作って、謎を解いてドアを開けて進んでいくという内容を具体的に考え、図面もできていたんですよね。ところが、コロナ禍になって、これは相当に密な作品で、今はできないという話になりまして。それでClaGlaとしては街歩きの謎解きゲームにシフトして、「ナゾグラ」はテーブルの上で楽しめる謎解きが遊べる場所「カフェ謎」としてスタートさせました。

「ゆこる」の方はオープンして、どのような反響がありましたか?

クロ 僕は思ったより…だったなーって感覚がありましたね。オープンといったら関係者などがガンガン来るイメージだったけど、コロナ禍もあって、メールでの挨拶だけだったり、お祝いの品をいただくだけだったり。お店で遊んでくれた人は、通常のオープンで考えたら少なかったと思うし、厳しい状態でのスタートだったと思いましたね。

hide オープン以降も思ったよりも客足は伸びなかったですよね。

クロ そうだね。でも、想定したよりは少なかったけど、コロナ禍にしては来ていたような気がしますね。

最初はなかなか厳しかったんですね。

きむち。 そうですね。でも、以前に働いていたボドゲカフェからのファンの方々や、ボドゲ自体のファンの人たちが応援してくれて、そういう人たちが来てくれたり、何かできることありませんかって協力してくれたおかげで、気づいたらここまで来ることができました。

集客と安全の両立に試行錯誤した1年

コロナ禍でスタートした「ゆこる」はどのような1年間を過ごされてきたのでしょうか?

こだま 僕は傍から見ていていたけど、この1年間、いろんなことを試行錯誤してきたよね。

hide 集客しようとイベントを企画したら、まん延防止や緊急事態宣言が出たり…。もうどうしたら良いの!?って状況が結構ありました。

クロ それでも貸し切りにしたり、イベントを企画したり、いろんな方法を模索したよね。

きむち。 「ナゾグラ」の空間も使わせてもらって1日で2つのイベントを開催したりもしました。

イベントはどのように企画されることが多いのですか?

クロ 根本にあるのは、きむちさんの体験してきた面白いことをみんなに知ってもらいたいっていう思いですね。「これ楽しかったので、みんなも知って!」という気持ちで企画されています。この1年でいうと、マーダーミステリーを充実させようって動きが特に大きかったですね。

きむち。 札幌でやっているところがなくて、地元の人にもぜひやってもらいたいと思って始めました。私はそうした体験型のイベントに参加して遊ぶのがもともと好きで、いろいろと勧めたくてお店を始めたんですね。ボドゲも簡単にできる体験型の一つだと思っていて、イベントはイベントで、そのときにしかできないレアな体験ができるもの。世の中にはたくさんのイベントがあって紹介したいのに、コロナ禍では自分がやりたいと思うものよりも、お客さまの安全を考えたイベントを提供しなくてはいけない。そのバランスを取るのに苦労しました。

こだま 安全対策でいうと、きむちさんは医療従事者だった経歴もあって、衛生管理についてはすごくきっちりされているんです。たぶん、「ゆこる」は日本でもトップクラスに安全対策に取り組んでいるボードゲームカフェなんじゃないかな。

きむち。 知り合いにも「やりすぎだろ」って言われるくらい徹底しています(笑)。そのくらいやらないと安心できないですよね。ゲームを通して触れ合いを楽しんでほしいけど、不安に思いながら遊んでほしくないし、やるからには安全にやってほしい。とはいえ、消毒なども押し付けすぎると不快に思われる方もいますので、そのバランスもとても大変でしたね。

全国のファンに支えられ、地域イベントにも尽力

オープンから苦労が続いてきた「ゆこる」。現在、入口の横には「ゆこる救済キャンペーン」と銘打っていろいろなものが置かれていますね?

こだま ClaGlaも提供しているのですが、全国のファンの人たちが自分たちのゲームを「ゆこる」に寄贈して、その売上金をすべて「ゆこる」に寄付してくれているんです。

きむち。 そうなんです、皆さん、めっちゃ優しくて…。

こだま あと、「ゆこる」のチケットを作りましたよね。

きむち。 そうですね。いつでも利用できる予約チケット(前売り回数券)を作りました。

こだま それを「2万円分買います」と言ってくれる人がいたり、応援してくれる人が何人もいたんですよね?

きむち。 ありがたかったですね。みんながこのお店を救おうとしてくれていることに、とても感動しましたし、その思いに応えなきゃなってすごく思いました。

苦労は多かったですが、その分だけ「ゆこる」は、この1年で札幌のアナログゲームの中心地ともいえる存在になっていったのではないでしょうか。

きむち。 なっているといいですけど。

クロ なっているんじゃないですか。

hide 「あたらしいあそび展」も主催しましたしね。

こだま あれは、すごかったですよ。感動しましたもん。

2021年8月6日〜14日に札幌パルコで開催された、ボードゲームや謎解きゲーム、マーダーミステリーなどの遊びを体験できるイベント「あたらしいあそび展」。そちらはどのような話から主催することになったのですか?

クロ パルコさんから「何かイベントしませんか?」って、きむちさんにお話があったんです。

きむち。 パルコさんが言ってくるとは思わなかったよね。

クロ うん。すごい意外だった。しかも直接なんだ!ってびっくりした(笑)。でも、あれはきむちさんじゃないとできないイベントだったと思います。

きむち。 面白かったですね。またやりたいな。

リアルに集い、乾杯できる日を目指して

改めてこの1年、どんな1年だったと感じますか?

きむち。 たくさんの人に支えてもらった1年だったなって思いますね。出来たばかりなのに、たくさんの人から無くなったら困ると言われて、すごく望まれていることを実感しました。こんなに必要とされている空間だったんだと知って、うれしかったです。

hide 常連さんの中には直接的な支援を申し出てくれる人もいたり。そんなことを言ってくれる人がいるんだって感激しました。

きむち。 ほかにもコロナ禍で大変な中にも関わらず、札幌の謎解きクリエイターさんが協力してくれたり、イベントを開催してくれたり、地元の人たちと連携していろんなことにチャレンジできたことも楽しかったですね。

地元のクリエイターとのつながりも感じられた1年だったのですね。

きむち。 そうですね。じわりじわりとですが。

こだま 本当はもっといろんなイベントをやりたくて、実現できないことに焦りましたが、逆にそれを支えてくれる人たちとのつながりや、今後やっていくための骨格というようなものが見えてきた感じがしますね。

きむち。 そうして出会った私たちを推してくれている人が、「ゆこる」を推してくれているおかげで、前の店に遊びに来ていた人も最近、来てくれるようになっています。

クロ すごく増えているよね。ここからどんどん楽しいことを増やしていけたらいいんだけど。

これから、さらにどんなことをやっていきたいですか?

きむち。 う〜ん、なんだろう。ビル建てるとかですかね(笑)。

こだま 急にぶっこんできたよ!(笑)。

クロ 僕はやっぱり野外で何かやりたいかな。

きむち。 あー、そうだね。このご時勢でできなくなっちゃっているけど、屋外での大規模なイベントを復活させたいですね。ほかにもマーダーミステリーや体験型イベントなど、いろいろと進化しているらしく、その辺も体験して持って来たいな。既存の施設を生かした地域密着型のイベントなども増えているようなので札幌でもできるようにしたいですね。

センバさんはどうですか? 今後の「ナゾグラ」でやってみたいことは?

センバ 街歩き型の謎解きゲームは今後も続けていきつつ、「ナゾグラ」の使い方ですよね。そこはちょっと悩み中ですが、地元の謎解き作家さんのためになるようなことができればいいなとは思っていますね。

こだま 地元の作家さんがもっと出てくると面白いですよね。「ナゾグラ」を通して、謎解き作家さんやゲーム作家さんに感化されて、自分も作ってみたいっていう人が出てくるようになれば、この場所ができて良かったなって思える気がする。

きむち。 私は上海型の謎解きがしたい! 「ナゾグラ」に最初に作ろうとしていた常設型の謎解きって、上海型っぽいやつですよね?

センバ 結構いじったりするやつだよね。確かに最初に作ろうとしたのは近いかな。まぁ、せっかくそういうものを作ろうという目的で作った場所なので、いつかはやりたいね。

こだま 僕も上海型好きなんだよなぁ。

きむち。 いいですよね。札幌にまだ無いし。楽しみにしています。

こだま 僕はみんなと乾杯がしたいな。この間の1周年のオンラインイベントで何をしたかったって、僕は乾杯がしたかったんだよね。

きむち。 そういえばタイムスケジュールに「乾杯」ってありましたね。

こだま そう。本当はオンラインではなくて、リアルに対面してみんなで「乾杯!」ってやりたい。それをここが完成してから出来てないのが残念で。いつかみんなで心から乾杯できる日を夢見ています。

(インタビュアー:児玉源太郎)

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